以前「HX Stomp
を主体としたラックシステムの構成」について以前記事にしましたが、今回は「HX Stomp を主体としたラックシステムの構築」について紹介したいと思います。
エフェクトシステムの構築としては、エフェクターボードの方が主流なので、なかなかラックシステムの構築について解説した記事は少ないのが現状です。
少しでもラックシステムを構築しようと思っている人の参考になればと思います。
コンセプトを明確に
エフェクトシステムを構成する場合、エフェクターボードでもラックシステムでもコンセプトを明確にしておく必要があります。
ここがはっきりしないと、使い勝手がいいエフェクトシステムを構築することが困難になります。
ラックシステムのコンセプト
今回作製するラックシステムは、下記の 3 つをコンセプトにしています。
- 可搬性の重視
- HX Stomp を主体としたシステム
- 展開の容易さ
可搬性の重視
ラックシステムといえども、可搬性は重要なポイントになります。
可搬性に優れていなければ、スタジオやライブハウスへの持ち込みが億劫になり、結果として使用頻度が下がってしまいます。
そのため、今回のラックシステムは
4U ショートタイプのケースに収まること、5 ~ 6 kg 程度の重量に抑えることを目指しました。
HX Stomp を主体としたシステム
HX Stomp
なら新規導入はもちろん、すでにボードを構築されている方にもベストマッチ。最上級の音質はもちろん、操作性、視認性においても秀でた、マルチストンプの決定版です。
私は
Helix 系のルーティングの自由さを物凄く気に入っているため、今回は
HX Stomp
を主体としてラックシステムを構成することにしました。
通常であれば
Helix Rack
を導入すればいいのですが、Helix Rack は単体で 5.6 kg
の重量であるため、今回のコンセプトでは見送りとなりました。
HX Stomp は 820 g という軽量さを特徴としているため、今回のラックシステムのコンセプトである、「可搬性の重視」についても満足できます。
展開の速さと容易さ
レセクタプルコネクタで素早い展開が可能 |
せっかくエフェクトシステムを構築するのであれば、スタジオやライブハウスでの展開の速さと容易さも重視したいポイントです。
ラックシステムの前面にレセプタクルコネクタを配置することで、シールドの結線を素早く容易に行うこと可能としています。
ラックシステムの構築
ラックシステムの構成については、過去記事で紹介しているので、今回はラックシステムの構成にはあまり触れず、構築をメインに紹介していきます。
ラックシステムの構成については、下記の記事を参照してください。
構成機材と配線イメージをもつ
ラックシステムに限らず、エフェクトシステムを構築する前に構成機材と配線イメージを持つことが大切です。
構成機材が確定しないことには、ラックシステムやエフェクターボードのサイズも決まりません。
今回は、下記の構成機材と配線イメージでラックシステムを構築していきます。
HX Stomp を主体としたラックシステムの概要図 |
構成機材と配線のイメージができたら、必要に応じて結線用のシールドを準備します。
機材とフロントパネルの取り付け
ラックシステムを構成するにあたり、はじめに機材の設置とフロントパネルの取り付けを行います。
使用したラックケースは
CLASSIC PRO CPA04S
で、ショートタイプの 4U ラックケースになります。
ラックケースへの機材とフロントパネルの取り付け |
今回使用したフロントパネルは、下記の 2 つです。
- MIDDLE ATLANTIC EVT2 (2U)
- MIDDLE ATLANTIC UNI1 (1U)
MIDDLE ATLANTIC EVT2
MIDDLE ATLANTIC EVT2
は、放熱タイプのブランクパネルです。
今回のシステムでは放熱タイプを選択する必要はありませんが、ラックシステム全体の重量軽減のためと、配線を結束バンドで留めることを目的として採用しています。
MIDDLE ATLANTIC UNI1
MIDDLE ATLANTIC UNI1
は、必要に応じて穴をあけるタイプのコネクタパネルです。
NEUTRIK 社製、ITT 社製どちらのコネクタにも対応した 1U サイズ 16
穴タイプのコネクタパネルで、あらかじめレーザーで穴の形にカットされているので、穴を叩いて簡単にくり抜くことができます。
必要に応じた数だけコネクタを付けることができるため、非常に便利なコネクタパネルです。
フロントパネルの取り付け
今回のフロントパネルは HX Stomp の配線を邪魔しないために、スペーサを使って少し 5 cm 後方にずらして取り付けを行いました。
スペーサを取り付けてフロントパネルを後方に移動 |
スペーサは、ウィルコさんの黒色ステンレススペーサ (M5 × L50)
を採用しています。
ウィルコさんは神奈川県の「ねじ・ボルト・ナット・ワッシャー等締結部品の製造・企画・販売」を行っている会社です。
Amazon
にも出品されているので、一般人でも任意の部品を購入できるので、非常に助かります。
コネクタの取り付け
フロントパネルのコネクタの配置が決まったら、MIDDLE ATLANTIC UNI1
のレーザカットされた穴の部分をハンマーと千枚通しなどで打ち抜いていきます。
UNI1 の打ち抜き |
意外と強度があるので、慎重に丁寧に打ち抜いていきます。
打ち抜かれた UNI1 |
打ち抜きが終わったら、任意のコネクタを取り付けていきます。
UNI1 に取り付けられた各種コネクタ |
今回使用したコネクタは下記の 3 つです。
- NEUTRIK NCJ6FI-S
- NEUTRIK NC5FP-B-1
- NEUTRIK NAUSB-W-B
NEUTRIK NCJ6FI-S
NEUTRIK NCJ6FI-S
は、オーディオインターフェイスなどの前面に搭載されている、XLR とフォン兼用のコネクタです。
今回は XLR 側は結線せずに、フォンのみ結線した状態で使用しています。
NEUTRIK NC5FP-B-1
NEUTRIK NC5FP-B-1
は、あまり一般的ではない
5 ピンの XLR コネクタで、このコネクタの用途は MIDI
機器との接続用です。
通常の MIDI ケーブルを接続することはできませんが、MIDI ケーブルの一端を 5 ピンの XLR
プラグに交換することで接続が可能です。
MIDI レセクタプルコネクタを探し出すことができなかったので、同じ 5
ピンのコネクタでの代用になります。
NEUTRIK NAUSB-W-B
NEUTRIK NAUSB-W-B
は、USB A/B で反転可能なレセクタプルコネクタになります。
HX Stomp をラックケースから取り外さずに PC
と接続するために使用します。
機材の取り付け
フロントパネルへの機材の取り付けですが、ワイヤレスシステム以外はマジックテープを使用して取り付けを行っています。
マジックテープには
One Control HOOK / LOOP
を使用していますが、非常に強度も強く垂直方向に HX Stomp を取り付けてもびくともしません。
機材の取り付けにはマジックテープを使用 |
全ての機材をマウントすると、下の写真のような状態になります。
全ての機材をマウントした状態 |
各種配線
エフェクターの配置が決まったら、各種配線を行っていきます。
今回使用したシールドは、全て HOSA のケーブルに統一しています。
HOSA CPP-890 の色分けされた配線なら接続先が一目瞭然 |
使用したシールドと変換コネクタは以下のとおりです。
- HOSA CPP-890 (モノフォン)
- HOSA CSS-890 (ステレオフォン)
- HOSA GPP-273 (ステレオフォン L型変換プラグ)
HX Stomp の SEND
端子については、ラックケースにぶつかる位置にコネクタがあったので、GPP-273
(L型変換プラグ) で方向を変えています。
今回使用した HOSA のケーブルは、カラーの異なる 8 本のシールドがセットとなっており、接続箇所がはっきりと分かる点が特徴です。
また、フォンプラグと配線が接続されている部分が樹脂で覆われているため、配線トラブルが極めて起こりにくい点も見逃せません。
ラックシステムの場合は配線スペースに余裕があり、バックパネルで隠すこともできるので配線が非常に楽です。
バックパネルの取り付け
全ての機材の取り付けと配線が終わったら、バックパネルの取り付けを行います。
今回使用したバックパネルは、下記の 2 つです。
- MIDDLE ATLANTIC EVT2 (2U)
- MIDDLE ATLANTIC UP1 (1U)
MIDDLE ATLANTIC EVT2
についてはフロントパネルの部分で紹介しているので、そちらを参照して下さい。
MIDDLE ATLANTIC UP1
MIDDLE ATLANTIC UP1 は機材や配線を容易に固定できる |
MIDDLE ATLANTIC UP1
は、様々な機材を取り付けることができるユーティリティーパネルです。
長穴が多数空いているので、ビスやタイラップでの機材や配線の固定が可能です。
私は、本ラックシステムの電源として
Panasonic WCH2434B
をビス止めにて固定しています。
WCH2434B は背面に磁石が搭載されているので、ビス止めによりさらに強固に固定することができます。
最後に
今回は HX Stomp を主体としたラックシステムの構築 について紹介させて頂きました。
今回構築したラックシステムでは軽量な HX Stomp を主軸に構築することで、5 ~ 6 kg という軽量さを実現しています。
また、コネクタパネルを使用して必要なコネクタを一カ所にまとめているので、スタジオやライブハウスでの即時展開が可能です。
エフェクターボードに比べると馴染みが薄いラックケースですが、構成によってはエフェクターボードよりも使い勝手が良いので非常におススメです。
ラックシステムの構成については、下記の記事で紹介しているので、ぜひ併せてお読みいただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
HX Stomp
なら新規導入はもちろん、すでにボードを構築されている方にもベストマッチ。最上級の音質はもちろん、操作性、視認性においても秀でた、マルチストンプの決定版です。
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